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<巻頭言より> 本書を手にされる方々へ 本書は平成18年に出版された『歴史はおもしろい―12のテーマで読み解く、高校生のための歴史学入門』の続編です。『歴史はおもしろい』は世界史の「未履修問題」とも重なって、マスコミにも大きく取り上げられました。一年もたたないうちに3刷、6000部が出版され、多くの市民から歓迎されました。柳の木の下にドジョウが二匹いるかどうか分かりませんが、好評にこたえてもう一冊だけ『もっとおもしろい』本を出すことにしました。前回同様、歴史学の方法、本来のおもしろさを誰にでも分かるように伝えたいという気持ちに変わりはありません。福岡大学人文学部の歴史学科に所属する12人の教員が自分の専門研究を生かし、あるいは日頃の授業の中から題材を選び、歴史学のおもしろさをできるだけわかりやすく説きおこしてみました。私たちが皆さんにお伝えしたい歴史学のおもしろさは、時代の変化や社会の構造、人間の本質にせまる歴史学本来のおもしろさです。確かな史料と学問的な方法に基づいて得られた「考える歴史のおもしろさ」「生きてゆくための歴史学」と言ってよいでしょう。 マネーゲームに狂奔し、自分だけが生き延びればいいという哲学とも思想とも言われない、欲望むき出しの資本主義が行き詰まった今ほど、人間の越し方、行く末を静かに振り返ってみることが求められる時代もないでしょう。世界史的な視野から過ぎ去った過去に思いをはせるとともに、時代の大波のなかで懸命に生きた人々の、一回限りの人生の重さを受け止める姿勢が学問に求められています。誰もが何のための学問なのか自問自答せざるをえません。ここにお届けするささやかな書物は、私たちの日頃のそうした思いを形にしたものです。本書は12人の教員の個性を反映する多彩なものになっていますが、それぞれに「何のための学問か」、一生懸命、追及しています。またそのために、本書のサブ・タイトルも「歴史学入門―12のアプローチ―」としました。 歴史学入門の類は大家が書きおろしたものから集団的な労作にいたるまで、すでにたくさん出されています。数ある入門書の中で、本書の特徴をあえて挙げるとすれば、日本史、西洋史、東洋史、考古学の研究・教育に携わる学科のスタッフ全員が、それも二度にわたって原稿を寄せたことでしょう。プラスもマイナスも含めて、文字通り学科のありのままの姿を伝えています。もう一つの特徴は「地方」=地域から学問的なメッセージを発信していることです。「地方が元気でない時代など、ろくな時代ではない」と昔からよく言われますが、「言うは易く、行うは難し」の例えのとおり、たやすくはありません。地方から発信すること自体が考える歴史学の「実践」と考えていただければ幸いです。ちなみに、本書には九州から題材を取った三つの論考が収められています。 最後になりましたが、私たちのささやかな試みを理解していただき、出版に際して財政的な支援を快諾していただいた衛藤卓也学長に感謝申し上げます。 |
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