科学研究費若手研究(B)
日本語疑問文の史的変化についての言語学的研究
組織・科研費詳細
研究目的
本研究は、日本語史の記述から一般言語学への貢献を目指すものである。日本語史の記述としては、得られたデータを客観的な基準で分類し、今後の日本語史研究でも利用できるようデータベースの公開を行う。言語学的な貢献としては、歴史変化を形式の交替で記述するだけでなく、話者の文法知識の再編として捉えなおす。研究の対象は、疑問文及び疑問から派生した構文である。また、琉球語についても、これら疑問に関連する構文を調べ、日本語史から得られた仮説の妥当性を検証する。
成果公開
上記の目的のもと、本プロジェクトでは、大学院生のアルバイタを雇い、日本語疑問文のデータベースを作成してきました。ここには、そのうち、研究代表者が目を通し整理し終わったものを公開します。
直接疑問文・歴史データを使った研究成果としては、以下のものがあります。データの詳しい内容は1.を御覧下さい。- 衣畑智秀(2014)「上代から中世の疑問文の様相―実例の検討を中心に―」『福岡大学人文論叢』46(1): 57-95、福岡大学人文学部 [リポジトリ]
- 衣畑智秀(2014)「日本語疑問文の歴史―上代から中世―」『日本語文法史研究2』青木博史他編、ひつじ書房
- Kinuhata, Tomohide (2012) 'Historical Development from Subjective to Objective Meaning: Evidence from the Japanese Question Particle ka.' Journal of Pragmatics 44(6-7)
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活動記録
- 「日本語疑問文の歴史―上代から中世―」が『日本語文法史研究2』(青木博史他編、ひつじ書房、2014年10月)に掲載されました。
- 「上代から中世の疑問文の様相―実例の検討を中心に―」が『福岡大学人文論叢』46(1)(2014年6月)に掲載されました。
- 「琉球語宮古狩俣方言の音韻と文法」が『琉球の方言』38(2014年3月)に掲載されました。
- 2013年2月24日から3月4日まで沖縄県宮古島市で調査を行いました。今回は新城、荷川取、下崎、野原集落の疑問関連構文について調査しました。
- 2013年2月15日に筑紫日本語研究会で「上代から中世における疑問文の歴史変化」と題して発表を行いました。
- 2013年10月31日から11月6日まで沖縄県宮古島市で調査を行いました。今回は、狩俣集落で談話の収録と確認を行いました。
- 2013年5月10日から15日まで沖縄県宮古島市で調査を行いました。今回は、狩俣集落で談話の収録と確認を行いました。
- 2013年1月13日に、福岡大学日本語日本文学会で「琉球語宮古島方言の終止連体形」というタイトルで講演を行いました。
- 2012年11月2日から8日まで、沖縄県宮古島市で調査を行いました。今回は、狩俣集落で、疑問文の調査と談話の確認を行いました。
- Historical Development from Subjective to Objective Meaning: Evidence from the Japanese Question Particle ka が、Journal of Pragmatics 44(6-7)(2012年5月)に掲載されました。論文は、こちらから有料で御覧いただけます。プレプリント版(無料)は、こちらにおきました。
- 2012年4月20日から29日まで、沖縄県宮古島市で調査を行いました。今回は、談話の確認、名詞・動詞の活用、指示詞についての調査でした。
- Discourse Update and Semantic Composition of Particles: The Case of Nen in Osaka Japanese を執筆しました(原由理枝氏と共著)。昨年度発表した学会のプロシーディングス(Sinn und Bedeutung 16 )に掲載されました(論文リンク)。
- 筑紫日本語研究会において、2012年2月18日「主観的表現から客観的表現への歴史変化―間接疑問文の発達を通して」と題した発表を行いました。内容は、Journal of Pragmaticsに掲載される論文を日本語で述べたものです。
- 「日本語における話者指向性」が、『福岡大学日本語日本文学』22(福岡大学日本語日本文学会, 2012年1月)に掲載されました。。
- 2012年10月27日から11月5日まで、沖縄県宮古島市で調査を行いました。今回は、狩俣集落で談話の収集を行い、大浦、島尻集落で疑問文の調査を行いました。
- オランダのユトレヒト大学で行われたSinn und Bedeutung 16で、Discourse update and paratactic association of particles and intonations と題した発表(原由理枝と共同)を行いました(2011年9月7日)。
- 「ヤラにおける例示用法の成立」(岩田美穂氏と共著)が『日本語文法』11-2(日本語文法学会, 2011年9月)に掲載されました。