マルチモード光ファイバイメージング
髪の毛ほどの太さのマルチモード光ファイバ(MMF)の片方の端面から入射した光波は,数メートル先のもう片方の端面においてランダムな散乱場を作ります.入射画像の情報は例えばディープラーニングなどのニューラルネットワークによりこの散乱場から回復でき,極低侵襲なイメージング(内視鏡)が実現できます.また,ニューラルネットワークを利用すると,MMF射出時に所望形状の焦点を形成することも出来,MMFフォーカシングと呼ばれています.当研究室では,様々な生成AI技術を用いてMMFの変形・環境変化に堅牢なMMFイメージング/フォーカシング技術の研究を進めています[1,2].
[1] H. Fowler, M. Bunsen, and T. Otani, Proc. of OECC/PCS 2025, TuP-C-9 (2025).
[2] T. Otani, M. Bunsen, and H. Fowler, Proc. of OECC/PCS 2025, WP-E-10 (2025).
ホログラフィックメモリ
急激に増大し続けるデータのアーカイブを主な目的として,ホログラフィックデータストレージが内外で盛んに研究されています.私たちは,その高速大容量化を目指して研究を行っています.従来は二次元光強度変調のみが施されていた信号光に,さらに二次元位相変調を施す変調法は空間直交振幅変調と呼ばれ期待されています.一方でこの変調方式は,変調時に複数の空間光変調器を必要とし,また,検出復調時に再生信号光と計測用参照光による複数の干渉縞画像を必要とするなど,解決すべき課題は多々あります.私たちの研究室では,より簡易・小型・単純な機構・装置による空間直交振幅変調を実現すべく,様々な観点から検討を行っています.一枚の干渉縞撮像による空間直交振幅変調信号光の検出復調(位相シフト埋め込み法[1]),光波の干渉に拠らない空間直交振幅変調信号光の検出復調(強度輸送方程式法[2]),ニューラルネットワークを用いた再生信号の高精度復号[3]などに取り組んでいます.
[1] M. Bunsen, S. Umetsu, M. Takabayashi, and A. Okamoto, Jpn. J. Appl. Phys., vol. 52, pp. 09LD04 (2013).
[2] Masatoshi Bunsen and Shosei Tateyama, Opt. Express 27, 17, pp.24029—24042 (2019).
[3] Masatoshi Bunsen and Taishi Miwa, Opt. Continuum 2, 8, pp. 1849—1866(2023). https://opg.optica.org/optcon/abstract.cfm?doi=10.1364/OPTCON.495968
ディジタルホログラフィ
簡易,非接触な3次元光計測技術であるディジタルホログラフィに関する研究も進めています.被計測物体を照明し,透過光・反射光・散乱光等をCCD等の撮像素子上で参照光と干渉させると,CCD上での物体光の複素振幅分布を計算により容易に得ることが出来ます.物体光を被計測物体から撮像素子までの距離だけコンピュータ上で回折積分により逆伝搬させることで,物体の3次元形状や3次元位置情報を得ることが出来ます.通常レーザ等のコヒーレント光源を用いますが,近年LEDや蛍光,自然光等のインコヒーレント光を利用したディジタルホログラフィも盛んに研究されています.当研究室でもインコヒーレント光源によるディジタルホログラフィの研究を進めています.