そろそろ水泳の季節である。ここ数年泳いでいないが,夏が来ると何か落ち着かない気分になる。夏の太陽の下で泳ぎたくなってしまうのである。
これは,そもそも中学時代に水泳部に入っていたことが大きい。ただし,福岡大渇水の影響でプールが使えず,ランニングばかりさせられていた記憶がある。そういえば,松山大学の採用面接のときも,「いま松山は水不足で大変だ」というお話を伺った。よくよく水不足と巡り合う運命らしい。
さて水泳であるが,中学時代に泳げなかったトラウマか,この年になっても無性に泳ぎたくなる。やや宣伝めいてしまうが,私の研究室から松山大学御幸キャンパスがみえることも関係している。緑に囲まれた御幸キャンパスには,競技用の五十メートル・プールがあり,泳いだ後にはプールサイドから松山市街を望むことができる。近隣の市民も自由にこのプールを利用でき,大学から地域社会へのサービスの一環になっている。
この頃は夏に泳げないため,時間が空くと冬でも南の島まで行ってしまうことがある。何とも不経済な話だが,ヨーロッパへの文化散策の旅ではなく,ただのんびりしたくて南の島に通っていたことがある。松山はまだ近郊に泳げる海水浴場が残っているが,都会の海水浴場は汚い上に芋の子を洗うようである。眉をひそめる方もおられるかもしれないが,学生たちは身近な海水浴場ではなく,ハワイに行くようである。
日本の海辺は南の島と違った独特の磯の香りがする。場所は違っても子供の頃から慣れ親しんだ香りである。小学生の頃には自転車で海まで行き,流木を拾い飯ごうでカレーライスを作って食べたものである。これは,長じて海辺のバーベキューに変わった。松山でも海辺のバーベキューを数回したが,磯の香りは昔と変わらない。
最近も南の島の誘惑に心が揺れるが,本当は四季の移り変わりの中で日本の海水浴を楽しみたいのである。海の家にも久しく行っていないが,昔のままの風情を残しているのだろうか。