前々回にアメリカに一年間いたことを書きましたが,今回はそのときの生活の一端をご紹介します。
まず,アパート探しから始まりました。これはインターネットで検索して,日米間を郵便,ファックス,電子メールが行き来し,二軒目で決まりました。そのアパートには家具は付いておらず,家具一式をレンタルしました。これはアメリカでは一般的なようです。蒲団などの消耗品は,最近日本にも進出したウォルマートで安く購入しました。ただし,蒲団を一年間使ってわかったことは,一年後にはボロボロになるような代物ということでした。
つぎは,車探しです。都会では公共の交通手段が発達していますが,大学町では講義の時間に合わせてバスが走っています。ほとんど講義には出ずに,研究室をもらって勉強をしていると,どうしても車が要ります。三日間ほどレンタカーを借りて,その間に中古車ディーラーを回ってホンダのシビックを購入しました。日本車ですが,現地生産車なので左ハンドルでした。
アメリカで,まず困ったのは電話です。私は渡米したばかりで国民総背番号制の社会保障番号を持っていませんでした。電話会社に電話して,アパートに電話を付けてくれというと,まず社会保障番号を聞いてきます。持ってないというと,写真の付いた身分証明書を二枚ファックスしろといいます。そこでパスポートとビザを送ると,ビザは駄目だということでした。家具レンタルショップのご婦人が親切に電話してくれて,ビザの代わりに国際免許証で大丈夫になりました。
これに懲りて社会保障番号をもらいに役所に行ったのですが,日本の役所も昔はそうだったかも知れませんが,数回にわたり延々と何時間も待たされました。社会保障番号制度は便利な反面,移民などでアメリカに来る人々が苦労して手に入れるのだということを実感しました。現在もこのアメリカの社会保障カードは私の手元にありますが,これを見ると当時のことが想い出されます。