私たちは日々たくさんのものを購入して消費しています。現在の不況の中でさえも,バブルのときのように高級品は買いませんが,私たちは消費を続けています。たとえば,高級車からコンパクトカーへ,億ションから手頃なマンションへの転換です。テレビをつけると,消費不況などまるで嘘のような気になります。

こうした消費社会を支えているもののひとつにクレジットがあります。クレジットというと聞こえがいいのですが,要するに借金です。借金をせずに家や車を購入する方は,現代では少数派になっています。昨今のマンション・ブームも,クレジットが支えていることになります。

こうしたクレジットの最新版は,クレジット・カードだと思います。家や車のクレジットは,購入した家や車にたいしてお金を借りています。しかし,クレジット・カードを使うときには,限度額の範囲内で何でも自由にものを買うことができます。さらに,航空会社のクレジット・カードで購入するとマイレージ・ポイントが付き,このポイントを貯めると無料航空券がもらえます。至れり尽せりです。

それでは,現代のクレジットによる消費社会には何も問題はないのでしょうか? 当たり前のことですが,消費をするにはお金が要ります。クレジットも借金ですから最後には返済する必要があります。周りの人々と同じような生活をするには,周りの人々と同じように働かないといけないのです。こうして,働きすぎの問題が発生します。

少し前の社会現象ですが,日本には過労死という問題がありました。KAROSHIは英語になって国際的にも注目されました。働きすぎで死んでしまうことが十数年前から起きていたのです。周りの人々と同じような生活というのは,日本ではとくに大変なプレッシャーになります。

最近では,各方面でダウンサイジングが叫ばれるようになりました。その中で,個人的にゆとりのある生活を目指す方々も現れているようです。