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負債概念の再検討
――負債の認識規準としての「債務性」の後退――
負債概念において、「債務性」は本質的特徴であり 、近年活発に議論が行われている負債と資本の両方の性質をもつ金融商品の会計処理の問題、リース負債の問題、資産解体撤去債務の会計処理の問題など、負債概念に関係する会計問題においても、議論の中心は、債務の存在または不存在を検討することや、債務とはどのような意味をもつのかを明らかにすることにあると考えられてきたように思われる。
しかし、最近のアメリカにおける会計基準設定を観察してみると、負債に関する会計問題であっても、むしろ「債務性」という問題を中心的課題としては取り扱わなくてもすむような方向に、負債概念自体、または負債概念における「債務性」自体を変更していく傾向があるように感じられる。
本稿は、アメリカ財務会計基準審議会(FASB)の公表する会計基準において、負債概念における「債務性」がどのように変化しつつあるかを検討したうえで、上述した傾向が生じている理由を考察し、それをもってわが国における概念フレームワークの形成論議 に資することを目的としている。
〜目次〜
T はじめに
U 負債概念における「債務性」――「拡張」傾向からの転換
V 負債の認識規準としての「債務性」の後退
1 SFAS第143号に対するSFAC第7号の影響
2 解釈指針公開草案の検討
W おわりに