学士課程での研究
卒業研究は2つの方向があります。1つ目の方向として、研究室では、研究内容にあるトピックに関連した、「その延長線上に独自の新しいサイエンス成果につながる研究テーマ」を用意しています。学生は、しばらくは関連分野を広く学び、その後、各々の興味に沿ったテーマを選択し、主体的に追求していくという方向です。2つ目の方向は、学生が研究室でできる範囲で自分の研究したいテーマを自由に設定して、研究を進めていく方向です。どちらの方向も十分に研究活動の醍醐味を味わえるようにしていきたいと考えています。
卒業論文
2022年度
「重力波SETI―ハビタブル惑星"Teegarden's Star b"のモニタ―」
「ドレイク方程式を用いた銀河系内の地球外文明数の導出」
「重力波観測における突発性雑音の機械学習を用いた解析について」
「重力波観測に出現する突発性雑音の特徴付けと分類に向けて」
2021年度
「スパースモデリングを用いた重力波信号の雑音除去」
「ボイドモデルを用いた群知能のシミュレーション」
「サハの方程式から求める核統計平衡について」
2020年度
「StellaImage8を用いた天体画像の合成」
「ノイズ駆動による群れの形成」
「初期宇宙起源のスカラー場による重力波探査」
「機械学習による重力波望遠鏡の突発性雑音の分類」
「重力波を用いた宇宙間衝突の探索」
2019年度
「重力波を用いて測る宇宙の曲率」
「銀河系中心部における重力波放出量の制限」
「アントコロニー最適化法による重力波信号のパラメータ推定」
「重力波マルチメッセンジャー観測による地球外知的生命体探査」
2018年度
「レーザー干渉計型重力波望遠鏡の開発と周囲の環境が与える影響(1)」
「レーザー干渉計型重力波望遠鏡の開発と周囲の環境が与える影響(2)」
「系外惑星のトランジット観測」
修士課程での研究
基本的な方針は卒業研究と同じです。学部までの基礎力を背景に、修士課程では研究活動に十分に浸って、修了する頃には宇宙物理学の最先端で論文を書いていることを目指します。
修士論文
2022年度
「重力波望遠鏡周辺における振動源発生領域の即時特定」
「重力波偏波再構成による重力理論の検証に向けた偏波間での漏れエネルギー評価」
2021年度
「多様な⽣態から着想したパンデミック下における医療・経済問題解決への⽷⼝」
「銀河系内からのメーザー天体の観測による重⼒波放出エネルギーの制限」
2019年度
「重力波ストークスパラメタを用いた重力波信号の解析」
博士課程での研究
基本的な方針は修士での研究と同じです。修士までの基礎力を背景に、博士課程では研究活動に十分に浸って、修了する頃には自分の専門分野で世界の先頭を走っていることを目指します。
博士論文
20xx年度
研究テーマ例
小型重力波望遠鏡の製作とそれを用いた重力波の探査
この研究では、ひとりひとりが小型の重力波望遠鏡を製作します。望遠鏡を作る過程で、その仕組みを深く理解し、光学系の構築、制御技術、精密測定を習得します。そして自分の望遠鏡を用いて実際に重力波の探査を行います。重力波源はブラックホール連星合体、超新星爆発、パルサー、背景重力波など様々あり、その中から探査したいものを絞ってデータを解析する方法を学び、実際に重力波探査を行います。
世界の望遠鏡の観測データを用いた重力波の探査
この研究では、アメリカのLIGO、イタリア、フランスのVirgoといった望遠鏡の観測データを用いて実際に重力波の探査を行います。重力波源に対応したデータ解析方法を学んで、それを改良したり、データに適用したりすることで探査を行い、重力波の検出を目指します。
重力波で探る物理学
検出された重力波信号には、従来の天文学ではうかがい知ることが出来なかった新しい物理情報が含まれています。例えば大質量星が爆発した際に起こる超新星爆発から放出される重力波信号を観測データから検出し、検出した信号から物理情報を引き出す研究や、重力波の偏向の特性から重力理論のテストを行う研究、余剰次元の存在を探る研究などがあります。
研究例
・ 超新星爆発メカニズムを重力波の円偏光の時間発展を調べることで読み解く。下図は、上段が重力波形、下段が波形から読み解いた円偏光成分の時間-周波数発展を表す。
・ 重力波望遠鏡ネットワーク観測から重力波の偏光成分を分離する。一般相対論では現れないスカラーモード、ベクトルモードの存在を調べるという、モデルに依存しない重力理論のテストが可能となる。
下図は、LIGO-Virgo-KAGRAネットワークで重力波に含まれているのスカラー、テンソルモードを分離したもの。
上記課題研究と共に、期間を決めてKAGRAのサイトや、共同研究を行っている大学、研究所を訪問し、最先端の実験現場で様々な大学の学生やスタッフと共に実験研究を行う予定です。