福岡大学工学部化学システム工学科

バイオエタノール燃料

前処理の効果

 日本でバイオエタノールを造るとなると、食料であるデンプンからは資源的に見合いません。日本は森林国ですから、森林資源の活用が有効です。ただし、木質資源は簡単には醗酵できません。そこで、様々な方法で醗酵に対する活性を上げる研究が進められています。
 私達の研究室では以下のテーマで、特に他産業で廃棄物となる資源を使って検討を行っています。

  1. 高圧熱水による前処理効果
  2. 各種薬剤による前処理効果
  3. 滅菌を目的とした前処理方法

糖類の分解速度

 上記のような前処理を行うと、エタノールの原料となるグルコースも一部分解を起こします(砂糖を煮詰めると茶色くなり、キャラメルになりますね、それです)。この分解物は醗酵の阻害物質となります。そこで、収率の良い反応条件を設定するために、糖類の分解速度を測定しています。簡単な反応のように見えますが、意外と複雑な反応です。

  1. グルコース、キシロースの熱分解速度解析
  2. セロビオース、マルトースの加水分解速度解析

連続式前処理装置の開発

 前処理を大量に行おうとすると、連続反応装置が必要となります。ところが、固体が混じっていますので、高圧を維持しながら液体を取り出そうとすると、圧力弁が閉塞する危険があります。そこで、そのような状況下でも連続的に反応を進めることができる装置を開発しています。

  1. 水頭圧で制御した高圧反応器の開発
  2. 細管内での懸濁液の流動特性

バイオマスの安全性

 バイオマスは生物資源ですから、環境に対しては安全と考えて良い物質です。しかし、あくまでも可燃性の有機物質ですから、工業生産の現場では安全に取り扱わなくてはいけません。そこで、粉塵爆発を中心とした、バイオマスの安全特性の研究を進めています。

  1. 木粉の粉塵爆発特性
  2. 木粉の凝集特性

研究成果

学会発表 原口雅央、戸高昌俊、内村俊介、コウハクル ワサナ、正本博士、重松幹二
油分を含むバイオマスの粉じん爆発特性
第63回日本木材学会大会(盛岡)P27-03-1100 (2013.03.27)
招待講演 重松幹二
工学部における木材関連研究について
第14回九州紙パルプ研究会セミナー(日南)(2013.03.01)
招待講演 コウハクル ワサナ
化学物質の安全性評価とその国際比較−可燃性粉じん爆発について−
セルロース学会西部支部セミナー(福岡)(2012.11.29)
学会発表 重松幹二、村上周宏、矢野 仁、コウハクル ワサナ、正本博士
製材屑の粉じん爆発特性
第62回日本木材学会大会(札幌)P17-02-1045 (2012.03)
学会発表 コウハクル ワサナ、朝野 理、正本博士、重松幹二
製材屑の粉じん爆発に対するリスク評価 −静電気帯電特性−
第62回日本木材学会大会(札幌)P15-P-PM07 (2012.03)
学会発表 筒井智大、矢野仁、原保弘、正本博士、重松幹二
木質バイオマス粉体の特性 ―水スラリー流動特性と粉塵爆発下限濃度―
第17回日本木材学会九州支部大会(福岡)p.35-36 (2010.08)
学会発表 伊藤義隆、北岡秀和、山田篤史、正本博士、重松幹二
亜臨界水におけるセロビオース及びバイオマスの加水分解と熱変性
第60回日本木材学会大会(宮崎)PP009 (2010.03)
学術論文 正本博士,高田雅子,永田和周,重松幹二
ニューラルネットワーク解析法による亜臨界水中でのマルトース加水分解反応の最適化
Journal of Computer Chemistry, Japan 7(5) 171-178 (2008).
学会発表 高田雅子、河北真希、正本博士、重松幹二
ニューラルネットワーク解析法による反応プロセス最適化
第44回化学関連支部合同九州大会(北九州)p.106 (2007.07).

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