福岡大学 理学部 物理科学科 端山研究室

マルチメッセンジャー観測

全天文学と連携して天体現象の解明を目指して

 重力波が宇宙の観測手段の一つとなったことで、天体現象及びその周辺のエネルギー情報を持つ電磁波、素過程の情報を持つニュートリノなどの素粒子の観測に加えて、天体現象の起こる起点の情報を持つ時空間の変動を直接観測することが可能になるという、新しい宇宙観測の窓が開かれた。重力波観測をスターティングポイントとした多粒子・多波長の観測を全宇宙物理学が協力して行い、現象を解明していく研究が活発化されていく。その第1例が2017年8月17日に起きた連星合体からの重力波である。重力波が検出された約1.7秒後にガンマ線が観測された。重力波の到来方向の推定情報がすばる望遠鏡といった世界中の電磁波望遠鏡に送られ、電波からガンマ線までの全波長による追観測が実現され重力波天体を様々な角度で調べることに成功し、その結果、キロノバの確認、初めて見る重元素生成の現場、重力波の速度による重力理論のテストなど、さまざまな成果が得られた。

 当研究室では、マルチメッセンジャー観測の起点となる重力波アラートのシステム開発といった基礎的なインフラの構築から、マルチメッセンジャー観測で実現できるサイエンスの検討、そして全天文学との連携観測を進めています。
 重力波だけではなく、光、赤外、電波、X線、ガンマ線、ニュートリノといった様々な天文観測に親しみながら研究を進めていきます。

  • 研究内容一覧へ