- 時間領域天文学(Time Domain Astronomy)の開拓
永遠に光っているように思える天体観測から始まった天文学は、現在、時々刻々と変動する天体現象をも観測しようと研究が進んでいる。代表的なターゲットは、超新星爆発、連星合体、新星、キロノバ、フレア、ブレーザー、活動銀河核、Fast radio transientsなどである。当研究室では、重力波天体を中心にして、天体現象の時空の時間発展を明らかにして、それが他の波長にどのように現れるのかを調べています。
- SKAによる重力波探査、フォローアップ観測
SKA(Square Kilometer Array)は何千台のパラボラアンテナと100万基のアパーチャーアンテナを用いて、1平方キロメートルの集光面積を持つ、世界最大の電波望遠鏡を建設する国際プロジェクトである。日本も参加を検討しており、国立天文台の電波望遠鏡VERAがSKAパスファインダーとなることが計画されている。観測波長帯は中高周波といわれるセンチ波・メートル波である。この波長はパルサーを検出するのに適している。パルサーは極めて正確な周期でパルスが観測される天体である。このパルサーの距離と周期を高精度で測定すると、パルサーのタイミングを変化させる時空の変動=重力波を検出することができる。このパルサータイミングと呼ばれる重力波検出方法は、KAGRAといった地上の重力波望遠鏡とは相補的で、KAGRAが検出できない、超重量ブラックホールを起源とする10の-7乗Hzといった極低周波の重力波を検出することが可能である。また、SKAはリアルタイムでの電波観測が可能であり、FRB(Fast Radio Transient)といった突発的にミリセカンドで非常に強い電波を放射する天体現象なども観測ターゲットとなる。このリアルタイム観測により、重力波との相互フォローアップ観測を可能にする。
当研究室では、こうしたSKAとレーザ重力波望遠鏡ネットワークとの連携で新しいサイエンスを目指しています。